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多面的機能支払制度

制度の目的

農地や農業用水などは、安全で安心な食料生産を支える生産基盤としての役割はもちろんのこと、国土・環境・生態系の保全、伝統文化や歴史的施設の伝承、学校教育、地域住民にとっての憩いや安らぎの場の提供など、多面的な役割を担っている地域の大切な資源です。
しかし、全国の集落で過疎化や高齢化、混住化が進行し、これらの資源を守る地域のまとまりが弱まっています。
農業の持続的発展と多面的機能の健全な発揮を図るためには、効率的・安定的な農業構造の確立とあわせて、基盤となる農地・水・環境の保全と質的向上を今まで以上に図る取り組みが欠かせなくなります。
この事業は、農業者だけでなく地域住民、自治会、関係団体などが幅広く参加する活動組織を新たに立ち上げることで、これまでの保全活動に加えて、施設を長持ちさせるようなきめ細やかな手入れや農村の自然や景観などを守る地域共同活動の促進を目的に行うものです。


交付金の概要

多面的機能支払交付金は、多面的機能を支える共同活動を支援する「農地維持支払」(取組必須)、地域資源の質的向上を図る共同活動や、施設の長寿命化のための活動を支援する「資源向上支払」(任意)から構成されています。

(1)農地維持支払
対象となる活動内容 
 ① 農地や水路、農道、ため池の見廻り 
 ② 草刈り、堀浚い、農道の砂利補充、ゲートの塗装、鳥獣害防護柵の管理など 
 ③ ①、②に加え、今後、農地や水路などをどのように維持管理していくかを地域で話し合い、構想をまとめていくことが必要になります。
交付単価(10アールあたりの金額) 
 田:3,000円
 畑:2,000円
 草地:250円

(2)資源向上支払(地域資源の質的向上を図る共同活動)
対象となる活動 
 ① 水路や農道、ため池などの劣化状況の調査 
 ② 水路のひび割れ補修、側溝の補修、防草シートの設置など 
 ③ 水路脇や農道脇の花栽活動、清掃活動、活動を通じた地域交流など 
 ④ 遊休農地の有効活用などの地域の創意工夫に基づく活動及び広報活動 など 
※農地維持支払の対象となる活動のうち、②の活動をしていることが必要です。
交付単価(10アールあたりの金額) 
 田:2,400円
 畑:1,440円
 草地:240円
 ※1 活動開始後5年経過、または資源向上支払(長寿命化)の活動を実施する場合は、上記金額の75%の単価になります。 
 ※2 ④の活動を実施しない場合は5/6の単価になります。 
 ※3 多面的機能の更なる増進に向けた活動、水田の雨水貯留機能の強化(田んぼダム)に取り組む場合や、国の定める要件を満たす場合、加算措置を受けられます。

(3)資源向上支払(施設の長寿命化のための活動)
対象となる活動内容 
① 水路の補修・更新 
② 農道の舗装、側溝の補修・設置 
③ ため池の浚渫、漏水箇所の補修 
④ 給水栓の設置・補修、進入路の設置・補修 
⑤ 鳥獣害防護柵の設置・補修 など 
※農地維持支払の対象となる活動のうち、②の活動をしていることが必要です。
交付単価(10アールあたりの金額) 
田:4,400円
畑:2,000円
草地:400円 
※直営施工を実施しない場合は上記金額の5/6の単価になります。また、1集落あたりの年交付額は上限200万円です。


交付金の対象者

・農業者および地域住民やその他の団体などで構成される活動組織
・農業者のみで構成される活動組織 
※農業者のみの活動組織の場合、資源向上支払(地域資源の質的向上を図る共同活動)に取り組むことはできません。


活動の実施期間

事業開始年度から5年間の活動が必須です。5年間の活動期間終了年度の翌年度に改めて活動を実施したい場合は、新たに事業計画の認定申請が必要です。


交付金の額

活動組織が保全管理する農地面積に交付単価を乗じた額


活動のための手続き

活動を開始するためには、組織の設立や総会の開催、事業計画書の提出などが必要となります。事業計画書は所定の様式がありますので、それに沿って以下の項目を記載します。
・活動期間(開始年度・終了年度等)
・活動実施区域内の農用地面積および施設(水路、農道、ため池)の状況
・実施区域位置図
・組織構成員一覧
・地域資源の保全管理の目標(項目選択方式)
・活動の具体的な内容


交付金の使途

事業計画書に盛り込んだ活動の範囲内であれば、水路や農道の草刈りや堀浚いなどの活動、花植え等の農村環境を保全するための活動に必要な費用であれば、地域の創意工夫で幅広く使うことができます。

交付金の使途の例
・活動に参加した構成員の日当
・資材(砕石、砂利、セメントなど)や活動に必要な機械(草刈り機など)の購入費
・パソコンなどのリース費、車両、機械等の借り上げ費、花の種、苗代、除草剤など
・補修・更新等の工事等(調査、設計、測量、試験等を含む)に係る建設業者等への外注費、事務の外注費など
・技術指導等のために外部から招く専門家等への謝金、活動に係る旅費、保険料、文具代の費用、アルバイト等への賃金、草刈り機や車の燃料代、役員報酬、飲物代など

交付金を使うことができないものの例
・個別農家のみの利益になるもの(個人用の農器具類、農作業用の被服等)
・地域の祭りや伝統行事、宴席、酒席の経費など、農業・農地の多面的機能の発現に関連しない活動
・活動計画に位置付けがない施設、他の補助を受け保全を行っている施設
・本活動の目的のみに限定が難しいもの(携帯電話料金や光熱水費等)、自動販売機での購入等の領収書がないもの
・国・県・市道、河川等の維持・保全すべき管理者が存在する施設(ただし、法面の草刈等管理者からの了解を得て、本制度の目的上必要な活動と位置づけられれば対象とすることも可能)


活動の手順

① 組織の設立 
活動組織を設立します。設立にあたっては設立総会等を開催します。
事前に、規約や事業計画書、活動計画書の案を作成し、総会で構成員からの合意を得ます。

② 事業計画の認定 
町へ事業計画書を提出します。事業計画が認定されると町から認定通知書が送付されます。

③ 交付金及び概算払の申請 
当該年度の活動に必要な交付金を町に申請します。その後、町から交付決定の通知が送付されます。 
必要に応じて、概算払請求書を町に提出し、交付金の一部又は全部を請求することができます。

④ 活動の実施・記録 
交付金を活用し、事業計画に基づき、活動計画書に定めた農用地、水路等の地域資源の保全活動等を実施します。 
実施した日々の活動について、作業の内容や金銭の収支等を記録します。

⑤ 活動の報告 
当該年度の活動記録を取りまとめて実施状況報告書を作成し、町に提出します。


注意事項

事務の取り扱い
・採択を受けるために必要な書類、活動における活動報告書、金銭出納簿、源泉徴収事務、必要書類の作成は活動組織が実施しなければなりません。(ただし、事務作業を外部委託することは可能)
・町は必要に応じて、活動に対する指導・助言、履行確認、書類の確認・検査等を行います。

交付金について
・購入した物品の使用は、本交付金の活動にしか使用できません。それ以外の活動に使用した場合は、交付金の返還対象となります。
・交付金には国庫補助金が充てられるため、会計検査院の検査対象となります。会計検査の対応は、町とともに活動組織の代表者や会計担当者等の役員が行うことになります。
・会計検査対象のため、活動が終了した後も5年間は関係書類や預金通帳等の保存が必要となります。

交付金の返還について
以下の場合などは、交付金の返還が生じます。
・活動要件を満たさなかった場合(活動計画に位置付けた活動を実施しなかった等)
・本交付金の活動目的以外に交付金が使用されていると認められる場合
・交付金算定対象となる農業振興地域内農用地の面積が転用・耕作放棄等により減少した場合
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